電気代なぜ高騰
かしこく電気とお付き合い / EMIの電気豆知識
高騰する電気料金!
なぜなの?そして対策は!?
EMIがわかりやすく解説!電気の値下げ、まだまだもっと!今よりもっと!
今後ますます高騰する可能性も。
それには様々な要因が・・。
「電気代はなぜ高騰するの?一体何が起きているの?」
「電気代削減にはどんな対策、どんなプランを選べばいいの?」
今こそかしこく電気とお付き合いするタイミング。
これからの電気代や削減について一緒に考えましょう。
まずは電気代の内訳を知ろう
電気料金は、大きく4つの内訳と消費税で構成されます。
使用電力量料金 | 使用した電力量の電気代 |
---|---|
再エネ賦課金 | 使用した電力量によって変動 |
燃料費調整額 | 使用した電力量によって変動 |
基本料金 | 基本単価 ×契約電力(最大デマンド値)× 力率割引
「デマンド値」は30分間に使用した電力量から決まります。 |
電気料金高騰3つの要因
1再エネ賦課金の上昇
2012年7月、国は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を制定し、太陽光、風力などの自然の力から生み出される枯渇しない“再生可能エネルギー(再エネ)”で発電した電気を、電力会社に取り決めたルールのもとで買い取ることを義務付けしました。国の目的は再エネの普及です。
制度上、再エネ買取価格は高額に設定されています。
そこでこの制度を継続するために必要なお金を”日本で電気を使う人たち”から「再エネ賦課金」として集めることを国が定めました。
「再エネ賦課金」は国の制度ですから、どの電力会社と契約しても電気を使う以上、わたしたちは電気代に含めて負担するものになります。
「再エネ賦課金単価」については今後10年は上がり続けると予想されています。
→再エネ賦課金の値上がりが、私たちが支払う電気料金高騰の要因のひとつです。
(例)使用電力量 30000 kWh/月 の場合
年度 | 再エネ賦課金単価 | 再エネ賦課金負担額 | |
月額 | 年額 | ||
2012年 | 0.22円 | 6,600円 | 79,200円 |
---|---|---|---|
2014年 | 0.75円 | 22,500円 | 270,000円 |
2016年 | 2.25円 | 67,500円 | 810,000円 |
2018年 | 2.9円 | 87,000円 | 1,044,000円 |
2020年 | 2.98円 | 89,400円 | 1,072,800円 |
2022年 | 3.45円 | 103,500円 | 1,242,000円 |
※2030年 | 3.5~4.1円 | 114,000円 | 1,368,000円 |
再エネ賦課金が生まれた背景
また電力自給率の低さが課題の日本は、東日本大震災後、原子力発電所の稼働低下により、現在国内エネルギー供給は化石燃料による火力発電への依存度が高く、全体の約80%を占めます。
しかし火力発電は非常に多くのCO2を排出します。
そこで政府は環境問題と電力自給率向上を目指し、2012年7月「再生可能エネルギー(再エネ)」を普及させる支援政策を打ち出しました。
それが
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)」です。
- 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)
-
発電事業者が再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた一定期間・一定価格で買い取るよう、電力会社に義務付けた制度。
目 的
- ●地球温暖化対策の実現
- ●国内の「エネルギー自給率の向上」「永続したエネルギーの安定供給」
- ●再エネ発電事業者(発電施設)を 増やす
結果参入拡大した再エネ発電事業
とされる再エネ発電事業(または再エネ発電施設)は、このFIT法により売電収益が確実に見込め、またそのことから有望な投資対象に。
結果、「売電収益が確実に見込めるため、再エネ発電設備費用や維持コストは十分回収でき、さらには利益がでます。有望な投資対象にもなるので発電事業をしましょう。」という国の画策が功を奏し、再エネ発電参入は拡大しました。
再エネ普及を支える「再エネ賦課金」
設置費用を回収する見通しを立ちやすくすることで普及が進むようにするため、再エネ買取価格は当初高額に定められました。
一方、再エネ買取に要した費用は、電気の使用者から集めることと定められました。
この徴収金が「再エネ賦課金」です。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)の仕組み
- FITの仕組みによる再エネ賦課金の流れ
-
- 1再エネ発電事業者 から 電力会社は国が定めた価格で再エネを買い取る
- 2電力会社 が 電気使用者 に電気を供給
- 3電気使用者 は 電力会社 に 再エネ賦課金 を含む電気代を支払う
- 4電力会社 は 電気使用者 から集めた 再エネ賦課金 を国が指定する賦課金回収・分配機関 に納付
- 5賦課金回収・分配機関 から 電力会社 に再エネ買取費用を交付金という形で分配
なぜ再エネ賦課金は上がり続けるの?
それなら再エネ賦課金も今後下がる傾向にあると思いますよね。
しかし、買取価格は下がっても賦課金は値上がり続けるといわれています。現在なんと制度導入されてから年平均26%の伸び率です。
賦課金値上がりの理由の1つには、FIT認定を取得した再エネ事業者の未稼働案件があります。
FIT認定を取得した再エネ事業者の未稼働案件
最大の問題はこのFIT単価、FIT申請時の発電設備価格などの平均値をもとにFIT認定時に決定されるということです。
現在FIT申請時の設備コストは普及とともに年々低下しており、FIT単価は低減傾向にありますが、もし過去に認定されたFIT単価が高い未稼働案件が稼働した場合、国は20年間、現在の低減傾向が見られる再エネ市場単価よりも高い単価で再エネを購入しなければいけません。
未稼働案件が稼働すれはするほど当然私たちが支払う再エネ賦課金にも影響し、更に上昇し重くのしかかってしまう可能性があります。
2つ目は、政府試算の「誤算」です。
政府試算がずれていく「誤算」
これらのことから現在では、元々想定していた2030年以降の再エネ普及に係る負担金低減スピードを上回るスピードで新規再エネ事業者の導入負担増が生じた場合、結果2030年以降も継続して再エネ賦課金は上昇する恐れがあります。
再エネ普及自体はメリットが十分にありますが、上がり続ける再エネ賦課金を目の当たりにすると、電気使用者のわたしたちは何とも複雑な感情を抱いてしまいます。
もちろん国もこの状況を打開するべく再エネと他の発電方法とのバランスや、制度改正(FIP制度導入/未稼働案件の認定失効制度など)を図りながら、再エネ賦課金を下げるためのあらゆる可能性を模索しています。
わたしたちが再エネ賦課金を支払う必要性
再エネ推進を好む好まざるを関係なく、基本的に一律で電気使用者へかけられる再エネ賦課金。
目の前の賦課金額を含めた電気代に頭を抱える可能性が年々高まっていますが、ここで「支払う必要性」について考えたいと思います。
結論から言いますと、再エネ普及を支える賦課金は、見方を変えるとポジティブに捉える費用だとも言えます。
再生可能エネルギーの普及に協力することは私たちの生きる社会を持続可能にすることに繋がっていきます。
- 日本のエネルギー自給率が上がり、安定したエネルギー供給が可能になる
- 為替レートによる価格変動、世界情勢に影響する化石燃料などの輸入はこの先も不安材料であり続けます。
再生可能エネルギーは日本の気候や風土に適していると言われており、永続して枯渇しない最大の自給電力となります。→ 電気使用者すべてのメリット
- 地球の環境問題解決に繋がる
- 温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出量を抑えることが地球温暖化対策の要であり、再生可能エネルギーはそれらに大きく貢献します。
→ 人類の未来のため、これからを生きる子ども達のため
2燃料費調整単価が上昇
このような背景から発電事業者のリスク要素である「燃料価格への影響」を外部化することにより、
- 電力会社が燃料価格変動の影響を受けず経営を安定させ、電気使用者への電力供給を安定させる
「外部化」とは、この制度を継続するために必要なお金を”日本で電気を使う人たち”から「燃料費調整額」として集めることです。
「燃料費調整額」は国の制度ですから、どの電力会社と契約しても電気を使う以上、わたしたちは電気代に含めて負担するものになります。
燃料費調整単価は電力会社ごとに異なります。また、価格変動によってはマイナスになることもあります。
ですが2021年9月以降、石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入価格高騰の影響で、電力会社各社による燃料費調整単価の上昇傾向が続いています。
さらに今後ロシア・ウクライナ情勢による天然ガス供給がさらに不安定になると、世界的にLNG価格が高騰する可能性があります。
→燃料費調整単価の値上がりが、私たちが支払う電気料金高騰の要因のひとつです。
(例)燃料費調整単価(円/kWh)※高圧受電契約
年月 | 東京電力 | 関西電力 | 中部電力 |
2022年 1月 | -0.52 | 1.15 | 1.72 |
---|---|---|---|
2022年 2月 | 0.72 | 1.94 | 0.42 |
2022年 3月 | 1.77 | 2.61 | 0.65 |
2022年 4月 | 2.20 | 2.89 | 1.12 |
2022年 5月 | 2.64 | 3.13 | 1.54 |
2022年 6月 | 2.87 | 3.27 | 1.69 |
2022年 7月 | 4.01 | 3.95 | 2.65 |
2022年 8月 | 4.93 | 4.69 | 3.50 |
2022年 9月 | 6.27 | 5.88 | 4.84 |
2022年10月 | 7.80 | 7.16 | 6.47 |
新規参入の小売電気事業者(新電力)の場合、燃料費調整単価は該当エリアの旧一般電気事業者との連動が一般的なので、調達コストの上昇分を電気料金に転嫁できずに新電力側の自己負担となるケースとなるため、新電力はさらに苦しい状況下にあります。
燃料費調整額の算定方法
その上で 平均燃料価格 という「貿易統計価格(貿易統計にて公表される円建ての輸入価格の実績)から原油、LNG、⽯炭それぞれの平均価格(3ヶ⽉平均値)と所定の換算係数をかけた平均額を毎月算出します。
この 基準燃料価格 と 平均燃料価格 を元にして 燃料費調整単価 が調整され、毎月の使用電力量に掛け合わされて燃料費調整額が決定します。
- 平均燃料価格 が 基準燃料価格 を上回る場合:
燃料費調整単価 はプラス調整 - 平均燃料価格 が 基準燃料価格 を下回る場合:
燃料費調整単価 はマイナス調整
燃料費調整額の反映タイミング
平均燃料価格 | 貿易統計価格(貿易統計にて公表される円建ての輸入価格の実績)から原油、LNG、⽯炭それぞれの平均価格(3ヶ⽉平均値)と所定の換算係数をかけた平均額を毎月算出。 |
---|
例えば6月の電気料金に影響する燃料費調整単価は1~3月分の平均燃料価格が反映されます。ご自身の電気料金を確認する際、燃料費調整額は3~5カ月前の市場の価格変動を受けているということになります。
燃料費調整単価には上限がある?
※基準燃料価格の1.5倍が平均燃料価格の上限とされています。
しかし現在、多くの電力会社の燃料費調整額は上限に達していることから、燃料費調整制度の「上限撤廃」が検討されています。
実際に上限廃止を宣言する電力会社もいます。
制度そのもの、または現在契約している電力会社が上限廃止となった場合、私たち電気使用者の電気代は更に高くなります。
3電力会社による電気料金の値上げ
- 事 例 電力会社切り替え / 契約変更による値上げ
- 電力会社を相見積もりで競争させるというコスト削減の施策にパラダイムシフトがおき、電力会社切り替え、契約変更を行うと電気料金が高くなる、という事例が発生しています。
- 事 例 旧一般電気事業者(東京電力など)の状況
-
基本的に電気事業者が契約電気使用者へ値引きをする際、国に届けた料金単価に対しての値引きが一般的です。
契約更新提案時には値引き額が縮小するため、値引きはしているのですが結果的に「値上げ提案」となってしまいます。
- 事 例 新電力(新規参入の小売電気事業者)の状況
- 新電力の電力調達(電源確保)手段は以下の3種類。
- ・自社電源
- ・発電事業者からの調達
- ・卸電力取引所(JPEX)からの調達
現在はJPEXからの調達が84.5%を占めており(2020年3月時点)、新電力の大多数はJPEXの仕入価格の上昇に苦しんでいます。
結果、収益を維持できない新電力は、今後のJPEX仕入価格の右肩上がりの方向性を見込み、
- 新規契約を停止
- 突然の事業撤退
- 更新時の大幅な値上げ
などに踏み切るケースも考えられます。
2022年6月8日時点でその「約15%」にあたる「104社」が契約停止や撤退をしています。
2022年3月時点では「31社」なので、2ヶ月で3倍以上に急増していることになります。
撤退する新電力会社の傾向としては「卸電力取引所(JPEX)」からの調達会社が多いようです。
新電力会社の事業撤退動向
これからは「契約の変更」ではなく「使用量削減」の時代
今後も値上がり続ける電気料金。電力会社やプランの変更・切り替えではコスト削減はもう限界を迎えています。
更に現在CO2排出量に応じて課税する「炭素税」が議論され、制度認定されると電気料金高騰にさらに拍車をかける懸念も。
これからは「契約の変更」ではなく「使用電力量をいかに減らすか」が重要なポイントとなります。
使用電力量を下げる節電方法は一般的には以下のような努力が必要です。
- とにかく使わない時はこまめに電気をOFF
- 人流・温度・湿度の変化によって室内温度や照明をこまめに節約調節
- 省エネ効果のある電気機器への買い替え
EMSを活用して「使用量削減」を実現
使用電力量削減に効果的な「エネルギーマネジメントシステム」という削減対策があります。
- エネルギーマネジメントシステム(EMS)
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エネルギー使用設備(例:照明・空調等)の使用状況を自動収集・見える化することで、無駄がいつ、どこで発生しているかを明確にし、最適な環境を保ちながら不要エネルギーを削減(CO2削減にも貢献)するなどの最適化を図る監視・制御コンピュータシステム。
EMSには各社様々なプランがあります。弊社のEMSサービスを例にあげ、効率良い使用電力量削減の対策を紹介します。
※基本的に電力会社は今のままで導入可能です。
- エネ達 エネルギーマネジメントシステム(EMS)
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- → 使用電力量の削減
- → デマンド制御で基本料金削減
- → 電力の「見える化」で運用改善
- → CO2排出量換算機能
- エネ達+「自家消費型」太陽光発電
-
エネ達機能 +
- → 自家消費型 太陽光発電で創エネ実現へ
- エネ達効果保証サービス
-
エネ達機能 +
- → 削減効果が出なかった場合に払い戻しを行う保証サービス
今後は使用量削減対策を考えなければ
「使用電力量は同じでも電気料金が高くなっていく」
ということになりかねません。
私たちはこれからも必ず電気料金を支払い続けます。
だからこそ
このタイミングで
使用電力量削減の見直しを検討しましょう。
- 省エネの意識を高める
- 使用電力量を下げる